単元ガイド
暗算
暗算は、筆算を書かずに、頭の中で計算することです。暗算には2つの面があります。1つは、7 + 3 = 10 や 6 × 8 = 48(ろくは しじゅうはち)のように、考えなくてもすぐに答えが出る計算。もう1つは、知っている計算を使って知らない計算の答えを見つける工夫です。6 × 8 = 48 を知っていれば、60 × 8 = 480 もすぐにわかります。途中の数を少しメモするのはかまいません。大切なのは、手順にたよらず、数のしくみを使って考えることです。
暗算は、算数のほとんどの単元を下から支えています。「いくつといくつ」や九九がすっと出てくる子は、頭の中に余裕があるので、新しく習うことに力を使えます。筆算も、一つひとつの位では暗算をしています。そして暗算は、大人が毎日使う算数でもあります。レシートを確かめる、おつりを考える、答えがだいたい合っていそうか見当をつける。どれも暗算です。
このページは全体の案内です。くわしくは、次の3つのガイドをご覧ください。
学年ごとに学ぶこと
文部科学省の小学校学習指導要領(2017年告示)では、3年生と4年生の計算について「簡単な計算は暗算でできるよう配慮する」こと、4年生ではさらに「暗算を筆算や見積りに生かすよう配慮する」ことが示されています。暗算だけの単元があるわけではなく、たし算・ひき算・かけ算・わり算の学習の中で、少しずつ身につけていきます。学ぶ時期は教科書によって少し違います。
| 学年 | 主に取り組むこと |
|---|---|
| 年長 | 算数という教科はまだありません。サイコロの目のような少ない数を、数えずにぱっと見てわかる。指やおはじきで「5は2と3」「1こふえると6」のように、遊びの中で数にふれます。 |
| 小学1年生 | 「いくつといくつ」(10の合成・分解)。1けたどうしのたし算(9 + 4 など)と、その逆のひき算(13 − 9 など)を確実にできるようにします。10のまとまりをつくって考える「さくらんぼ計算」。何十のたし算・ひき算(30 + 20、50 − 30)や3つの数の計算。宿題の計算カードでおなじみの学年です。 |
| 小学2年生 | 何十・何百のたし算・ひき算(70 + 50 = 120、600 + 300 = 900)。答えを見積もること。多くの学校では2学期に、九九を1 × 1から9 × 9まで覚え、すらすら言えるように練習します。 |
| 小学3年生 | 簡単な計算は暗算でできるようにします。多くの教科書では、2けたどうしのたし算・ひき算(36 + 47、83 − 57)を暗算で考えます。九九を使うわり算(56 ÷ 8 = 7)と、あまりのあるわり算(23 ÷ 4 = 5 あまり 3)。10倍・100倍した数(36 × 10 = 360)。何十にかける計算(40 × 3 = 120)。そろばんでのたし算・ひき算。 |
| 小学4年生 | 暗算を筆算や見積もりに生かします。四捨五入で概数(がいすう)にして答えを見積もる。何十でわる計算(80 ÷ 20 = 4)。計算のきまりを使った工夫(25 × 16 = 25 × 4 × 4 = 400)。小数 × 整数(0.3 × 4 = 1.2)。 |
| 小学5年生 | 小数点を移して、10倍・100倍、10分の1・100分の1の数をつくる(2.5 × 10 = 25、36 ÷ 100 = 0.36)。偶数と奇数。倍数を使って、通分するときの分母を見つける。割合と百分率(600円の10%は60円)。 |
| 小学6年生 | 分数のかけ算・わり算で、先に約分できる数を見つける(¾ × ⁸⁄₉ は、4と8、3と9を約分して ⅔)。比を簡単にする(12:18 = 2:3)。答えを見積もって確かめる。これまでの計算を、場面に合わせて暗算・筆算・見積もりから選んで使います。 |
大切な考え方
1. 覚えている計算から、ほかの計算をつくる
すべての計算を覚える人はいません。子どもたちは少しの計算を覚え、そこから新しい計算をつくり出します。8 + 2 = 10 を知っていれば、80 + 20 = 100、800 + 200 = 1000、18 + 2 = 20 もわかります。7 × 8 = 56(しちは ごじゅうろく)を知っていれば、56 ÷ 8 = 7、70 × 8 = 560 もわかります。2年生で学ぶ「かける数が1ふえると、答えはかけられる数だけふえる」というきまりを使えば、7 × 9 = 56 + 7 = 63 です。確かに覚えている計算がふえるほど、手の届く計算もふえていきます。
2. いくつかの工夫で、たいていの計算ができる
学校で出会うことの多い工夫を紹介します。それぞれのくわしい説明は暗算のコツにまとめました。
- 10をつくる:7 + 6 は、6を3と3に分けて、7と3で10、10と3で13(さくらんぼ計算)。6 + 7 + 4 なら、先に 6 + 4 = 10 をつくって、10 + 7 = 17。
- 10からひく(減加法):13 − 9 は、13を10と3に分けて、10 − 9 = 1、1と3で4。
- 何十・何百のまとまりで考える:40 + 30 は「10が4こと3こで7こ」なので70。600 + 800 は「100が6こと8こで14こ」なので1400。
- 分けて計算:36 + 47 は、十の位どうしで 30 + 40 = 70、一の位どうしで 6 + 7 = 13、合わせて 70 + 13 = 83。
- きりのいい数にして調整:99 + 45 は、99を100と考えて 100 + 45 = 145、1多くたしたので 145 − 1 = 144。64 + 19 も、64 + 20 − 1 = 83。
- 数えたしてひき算:83 − 57 は、57から83までいくつあるかを数えたします(下の数直線)。
- 10倍・100倍:36 × 10 = 360、36 × 100 = 3600。10倍すると位が1つ、100倍すると2つ上がります。
- 九九を使う:40 × 3 は 4 × 3 = 12 の10倍で120。240 ÷ 6 は「10が24こ」を6で分けると「10が4こ」なので40。
- 2倍と半分:24 × 4 は、24の2倍で48、その2倍で96。46 × 5 は、46 × 10 = 460 の半分で230。
3. 暗算と筆算は助け合う
2年生からは、大きな数を縦に書いて計算する筆算を習います。でも、筆算を覚えたら暗算がいらなくなるわけではありません。筆算の一つひとつの位でしているのは暗算です(「一の位、7たす5は12。2を書いて1くり上げる」)。そして、計算を始める前に「これは暗算でできないかな?」と考えるのが、いちばんよい習慣です。
たとえば 3005 − 2998 を筆算ですると、0があるくり下がりが続き、間違いが起きやすくなります。2998から数えたせば、3000まで2、3005までさらに5で、答えは7です。反対に、4826 + 3957 のような計算は筆算のほうが確かです。そのときは暗算で見積もりをします。四捨五入して百の位までの概数にすると 4800 + 4000 = 8800 くらいなので、筆算の答えが8783なら「合っていそうだ」とわかります。これが学習指導要領のいう「暗算を筆算や見積りに生かす」ことです。
「答えは?」と聞くよりも、「どうやって考えたの?」と聞いてみてください。考え方を言葉にすると、その工夫が身につきますし、1つずつ数えたのか、知っている計算を使ったのかもわかります。おうちの方と違うやり方でも、筋が通っていれば「その考え方、いいね」と認めてあげましょう。答えにたどり着く道は、たいてい1つではありません。
4. まず正しく、それからはやく
計算のはやさは、急ぐことからではなく、確かに覚えていることから生まれます。覚えている途中は、指やおはじきを使ったり、少しメモしたりしてかまいません。少しずつ、毎日続けるうちに、だんだん道具がいらなくなっていきます。
1・2年生の宿題でおなじみの計算カードは、表の式を読んで答えを言い、裏で確かめる練習です。学校によっては、縦と横に並んだ数を組み合わせて100問をとく「百ます計算」に取り組むこともあります。時間をはかる練習は、計算がほぼ身についてから使うと効果的ですが、まだ自信がない子には負担になることもあります。くらべる相手はほかの子ではなく、きのうの自分です。
5. そろばんで数のまとまりを目で見る
3年生と4年生では、学校の授業でそろばんを使って、数の表し方やたし算・ひき算を学びます。1年生では、教室で100玉そろばんを使うクラスもあります。そろばんの珠(たま)は、5と10のまとまりが目に見えるので、「あといくつで10」や位のしくみがつかみやすくなります。そろばん教室に通う子の中には、頭の中にそろばんを思い浮かべて計算する子もいます。習い事にするかどうかは家庭の選択で、習っていなくても、学校の学習で暗算の力は十分に育ちます。
すらすら言えるようにしたい計算
学習指導要領の内容をもとにした、各学年の終わりごろの目安です。どの学年も、それまでの学年の計算をふくみます。ここに届いていなくても、あせらずに、少しずつ進めれば大丈夫です。
| 学年の終わりごろ | 考えずに答えが出るとよい計算 |
|---|---|
| 年長 | サイコロの目のような5までの数を、数えずにぱっと言える。「5は2と3」「5は1と4」のような5の組み合わせ。 |
| 小学1年生 | 10の「いくつといくつ」(7なら、あと3で10)。答えが18までの1けたどうしのたし算と、その逆のひき算(9 + 4 = 13、13 − 9 = 4)。 |
| 小学2年生 | 九九の81こすべて(1 × 1から9 × 9まで)。合わせて100になる何十の組(30 + 70)と、何百のたし算・ひき算(300 + 700 = 1000)。 |
| 小学3年生 | 九九を逆に使うわり算(56 ÷ 8 = 7、42 ÷ 6 = 7)。10倍・100倍した数。0.1が10こで1。 |
| 小学4年生 | 覚えておくと便利な組(25 × 4 = 100、125 × 8 = 1000)。何十でわる計算(80 ÷ 20 = 4)。 |
| 小学5年生 | 分数と小数の関係(½ = 0.5、¼ = 0.25、¾ = 0.75)。10%は全体の10分の1で、1割と同じ。 |
| 小学6年生 | 同じ大きさを表す分数・小数・百分率(½ = 0.5 = 50%、¼ = 0.25 = 25%、⅕ = 0.2 = 20%、⅒ = 0.1 = 10%)。円周率の計算(3.14 × 2 = 6.28、3.14 × 4 = 12.56)も、覚えておくと円の計算がぐっと楽になります。 |
つまずきやすいところ
- 何でも1つずつ数える:年長や1年生のはじめなら自然なことです。でも、3年生になっても 8 + 5 を指で1つずつ数えているなら、「あといくつで10」と10をつくる練習にもどってみましょう。
- ひき算を分けるときに上下を入れかえる:52 − 27 で、50 − 20 = 30、一の位を「7 − 2 = 5」として35にしてしまう。一の位は 2 − 7 で、そのままではひけません。先に十の位をひいて 52 − 20 = 32、次に 32 − 7 = 25 とすると確かです。
- 調整の向きを間違える:64 + 19 で、64 + 20 = 84 としたあと、1をひくところを1たしてしまい85になる。20は19より1多いので、多くたした1をひいて83です。
- 「0をつければ10倍」と覚えてしまう:25 × 10 = 250 ではうまくいきますが、2.5 × 10 を2.50としてしまう(正しくは25)。10倍すると位が1つ上がる、つまり小数点が右に1つ移ると考えます。
- 何でも筆算にする:1000 − 998 まで筆算でくり下がりをすると、時間もかかり間違いもふえます。998から1000までは2。数えたせば一瞬です。
家でできる5分の遊び
- 「あといくつ」ピンポン:おうちの方が「7!」と言ったら、お子さまは「3!」(あといくつで10)。高学年なら100で。「64!」「36!」。
- きょうの数:数を1つ決めて、たとえば24なら、つくり方をできるだけたくさん見つけます。20 + 4、30 − 6、6 × 4、12の2倍、48 ÷ 2。
- スーパーでだいたいいくら:買い物かごに入れた商品のねだんを、きりのいい数にしてたしていきます。198円は200円、315円は300円、89円は90円で、だいたい590円。レジの合計(602円)とどれくらい近かったかな?
- トランプで2倍:トランプを1枚めくって、その数の2倍をできるだけはやく言います(Jは11、Qは12、Kは13)。慣れたら、偶数のカードで半分も。
- ぴったり20:サイコロを3つふって、出た目と+−×÷を使って20をつくります。6、3、2が出たら、6 × 3 + 2 = 20 でぴったり! ぴったりにならなければ、20にいちばん近い人の勝ち。
インディのチャレンジインディの巣には、ミツバチが198匹いるよ。そこへ57匹が飛んできたよ。いま巣には何匹いるかな? 頭の中で計算してみてね。もう1問。そのあと99匹が花のみつを集めに出かけたら、巣にのこるのは何匹? 答えを見る
198は、あと2で200。200 + 57 = 257 として、多くたした2をひくと 257 − 2 = 255。答え 255匹。これが「きりのいい数にして調整」です。もう1問:99をひくのは、100をひいて1をもどすのと同じ。255 − 100 = 155、155 + 1 = 156。答え 156匹。たしかめ算:156 + 99 = 255。
暗算の無料プリント
家庭でも教室でも使えるように、印刷してお使いください。どのプリントも、2ページ目に答えがついています。
よくある質問
筆算を書かずに、頭の中で計算することです。覚えている計算(「いくつといくつ」や九九)と、10をつくる、分けて計算する、数えたすなどの工夫を組み合わせて答えを出します。途中の数を少しメモするのもかまいません。
はい、計算を覚えている途中なら大丈夫です。特に年長や1年生では、指は数のしくみを目で見る助けになります。「いくつといくつ」が身についてくると、ほとんどの子は自然に指を使わなくなります。3年生になってもほとんどの計算を1つずつ数えているようなら、10の組み合わせを毎日少しずつ練習してみてください。
多くの学校では2年生の2学期に、1の段から9の段まで(1 × 1から9 × 9まで)を覚えます。クラスでは先生の前で九九をとなえる練習がよく行われますが、全国共通の九九のテストはありません。3年生のわり算は九九を使って答えを見つけるので、2年生のうちに確かにしておくと安心です。
全国共通の暗算のテストはありません。学校では、授業の中の計算練習や小テスト、単元テストで計算の力を見ていきます。6年生の4月にある全国学力・学習状況調査は国語と算数(年によっては理科も)の調査で、成績や進学には関係しません。くわしくは小学校のテストと調査のガイドで説明しています。
そろばんは3・4年生の授業でも学びます。習い事として続けると、数のまとまりや位の感覚が育ち、暗算が得意になる子もいます。ただ、習い事にするかどうかは家庭の選択です。習っていなくても、毎日の「いくつといくつ」や九九の練習と、考え方を話し合う習慣で、暗算の力は十分に伸びていきます。
インディと練習しよう
Beequation Kidsでは、計算の練習がハニカムパズルになります。お子さまがつまずいたときは、ミツバチのインディがヒントを出します。広告なし、データ収集なし。