学年別ガイド
年長の数と形:遊びの中で育つ算数の芽(5〜6歳)
年長は、幼稚園・保育所(保育園)・認定こども園の最後の1年で、5〜6歳の子どもたちのクラスです。保育所では「5歳児クラス」と呼ぶことも多く、2026年度は2020年4月2日〜2021年4月1日生まれの子どもたちが年長さんです。義務教育ではありませんが、2019年10月から3〜5歳の利用料が無償化され、ほとんどの子どもがどれかに通っています。そして次の4月、いよいよ小学1年生になります。
年長には、「算数」という教科も、教科書も、テストもありません。数や形とのつきあいは、毎日の遊びと生活の中にあります。朝の会で当番さんがきょう来ているお友だちの人数を数える、お弁当や給食の前にコップを1人に1つずつ配る、おやつを同じ数ずつ分ける、積み木で高い塔をつくる、すごろくでサイコロをふる、カレンダーを見て遠足まであと何日かを数える。こうした一つひとつの体験が、小学校の算数の土台になっていきます。
年長さんが取り組んでいること
この時期にいちばん大切なのは、数の感覚を育てることです。数を「唱えられる」ことと、数が「わかっている」ことは同じではありません。おふろで100まで元気に唱えられる子でも、ミカンを数えたあとに「ぜんぶでいくつ?」と聞かれると、もう一度「1、2、3……」と数え直すことがあります。最後に言った数が、そのまとまりの数を表している。このつながりに気づくことが、年長さんの大きな一歩です。
もう一つの柱が、1つずつ組にしてくらべる経験です。ミツバチ1匹に花を1つずつ組にしていって花があまれば、数えなくても「花のほうが多い」とわかります。お皿の横にお箸を1膳ずつ置く、いすを人数分ならべる、といったお手伝いも、この考え方そのものです。小学1年生の算数でも、はじめのころに、ものを1つずつ対応させて数の大きさをくらべる学習があります。
幼稚園教育要領・保育所保育指針に書かれていること
園での教育は、文部科学省の幼稚園教育要領(2017年告示)にもとづいています。保育所保育指針や認定こども園の教育・保育要領にも同じ内容が書かれているので、どこに通っていても、めざすところは共通です。数や形にかかわる主な部分は次のとおりです。
| 書かれていること | 実際には |
|---|---|
| 「日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ」(領域「環境」の内容) | 数や形を机の上で教わるのではなく、生活の中で出会って「おもしろい」「知りたい」と思えること。おやつの数、積み木の形、カレンダーの日付など。 |
| 「幼児自身の必要感に基づく体験を大切に」(領域「環境」の内容の取扱い) | 「何人いるか知りたい」「同じ数ずつ分けたい」と、子ども自身が必要を感じた場面で数を使うこと。プリントやドリルでの反復練習を求めるものではありません。 |
| 「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」(幼児期の終わりまでに育ってほしい姿) | 年長の終わりごろには、遊びや生活の中で数や形、標識や文字に親しみ、必要なときに自分から使えるようになっている姿をめざします。 |
要領は3歳から6歳までをひとまとまりとして書かれていて、「年長では10まで」のような学年ごとの目標はありません。そのうえで、多くの園でよく見られる年長さんの姿を、単元ごとにまとめました。取り組み方は園によってかなり違い、遊びが中心の園もあれば、ワークやプリントを使う園もあります。
数える・数字を読む
- ものを1つずつ指さしたり動かしたりしながら10くらいまで数え、最後に言った数が「ぜんぶでいくつ」かを表すとわかる。
- 数を唱えるのは、20や100まで進む子も多い。「おふろで100まで数えたら出ようね」は、昔からある家庭の習慣です。
- サイコロの目のような少ない数を、数えずにぱっと見てわかる。
- 0〜9の数字を読み、数字とものの数を結びつける。カレンダー、時計、エレベーター、バスの番号など、数字は身のまわりにあふれています。
- 「前から3番目」「3人目」のような順番を表す数と、「1つ多い」「1つ少ない」。
- 4を「し」とも「よん」とも、7を「しち」とも「なな」とも読むように、数の読み方が2つあることにも少しずつ慣れていく。
いくつといくつ・ふえる・へる
- 指やおはじきで、数を2つに分けたり合わせたりする。「5は2と3」「5は1と4」。片手の5本の指は、5の組み合わせを見るのにぴったりの道具です。
- 「1こもらうと、いくつ?」「2こ食べたら、のこりはいくつ?」のように、ふえたりへったりする場面を、ものを動かしながら考える。
どれも、ものを使い、言葉で話しながら取り組みます。+や−の記号を使った式は、小学1年生になってから習います。10をつくる組み合わせについては、いくつといくつと20までの計算で紹介しています。
同じ数ずつ分ける
- おやつやおもちゃを「1つずつ、1つずつ」と配って、同じ数ずつ分ける。小学3年生で習うわり算の、いちばん最初の入り口です。
- くつや手袋を「2、4、6」と2つずつ数える。
- パンやおせんべいを「半分こ」する。ぴったり同じ大きさに分けられたかを気にするのも、分数につながる大切な感覚です。
形と位置
- 「まる」「さんかく」「しかく」がわかり、身のまわりで見つける。道路標識、おにぎり、お皿、窓。
- 積み木や空き箱で遊び、「ボールはころがる」「箱は積める」のような形の特徴に気づく。しかくい折り紙を角と角を合わせて折ると、さんかくになることを発見する。
- 「上・下」「前・後ろ」「となり」のような位置のことば。右と左は、まだ自分の体でたしかめながら覚えている途中の子も多い時期です。
くらべる(長さ・かさ・重さ)
- 背くらべをしたり、ひもを並べたりして、どちらが長いか、高いかをくらべる。
- 水遊びで、どちらの入れ物に多く入るかをくらべる。荷物を両手に持って、どちらが重いかを感じる。
- 「大きい・小さい」「長い・短い」「多い・少ない」「重い・軽い」のような、くらべることばを使う。
時計とカレンダー
- 朝・昼・夕方・夜、きのう・きょう・あしたのような、時間の流れを表すことば。
- 日曜日から土曜日までの7つの曜日。当番表やクラスのカレンダーで、毎日ふれています。
- 「長い針が12になったらお片づけ」のように、時計を目安にして動く。「3時」のような「何時」が読める子もいますが、時刻の読み方は小学1年生で習う内容です。
並び方のきまり・なかま分け
- 「赤・青・赤・青」「まる・さんかく・さんかく・まる・さんかく・さんかく」のような並び方のきまりに気づき、続けたり、自分でつくったりする。ビーズのネックレスづくりは、その代表です。
- おもちゃやどんぐりを色・形・大きさでなかま分けして、それぞれいくつあるかをくらべる。これは表とグラフの入り口です。
年長の終わりごろ、多くの子ができるようになること
ここに書いたのは目安です。できるようになる時期は一人ひとり違い、同じクラスでも4月生まれと早生まれでは1歳近い差があります。
- 10くらいまでのものを正しく数えて、「ぜんぶでいくつ」と言える
- サイコロの目のような少ない数を、数えずにぱっと言える
- 20くらいまで数を唱えられる(100まで唱える子も)
- 2つのまとまりのどちらが多いか、少ないか、同じかがわかる
- 0〜9の数字が読める(書くと、まだ左右反対になる字があることも)
- 「5は2と3」のように、小さな数を2つに分けたり合わせたりできる
- おやつなど少しの数のものを、同じ数ずつ分けられる
- まる・さんかく・しかくがわかり、並び方のきまりを続けられる
- 上・下・前・後ろなどの位置のことばを使い、曜日を順番に言える
よく使うことば
園や1年生の教室でよく聞くことばです。おうちでも同じことばを使うと、お子さまの中で、園や学校での経験と家での経験がつながります。
| ことば | どんな意味? |
|---|---|
| かぞえる | 数を順番に言いながら、ものを1つずつ指していくこと。 |
| ぜんぶでいくつ? | まとまりの数。数えたときに、最後に言った数です。 |
| おおい・すくない・おなじ | 2つのまとまりをくらべることば。1つずつ組にして、あまりが出たほうが「おおい」。 |
| 1つおおい・1つすくない | 数えるときの、次の数と前の数。5より1つおおいのは6、1つすくないのは4。 |
| いくつといくつ | 1つの数を2つに分けたり、2つの数を合わせたりすること。「5は2と3」。 |
| あわせて・ふえると | 2つのまとまりを合わせたり、ものがふえたりすること。たし算の入り口です。 |
| のこりは | いくつか取ったり食べたりしたあとに残る数。ひき算の入り口です。 |
| おなじかずずつ | どの人も同じ数になるように分けること。 |
| 〜ばんめ | 順番を表すことば。「前から3ばんめ」。 |
| まる・さんかく・しかく | 1年生の教科書でも使う、形の呼び方です。 |
年長にテストはある?
ありません。幼稚園・保育所・認定こども園には、算数のテストも成績もありません。先生方は、遊びや生活の中での一人ひとりの様子を見ながら育ちを支えていて、成長の様子や気になることは、連絡帳や園だより、面談などで伝えてくれます(伝え方は園によって違います)。おうちで何かを準備する必要はありません。
年長の秋ごろには、入学する小学校などで就学時健康診断があります。市区町村の教育委員会が行う、入学前の健康診断です。短いやりとりや課題がある地域もありますが、公立小学校の入学試験ではありません。そのために数や字の練習をしておく必要はありません。
小学1年生へのかけ橋
文部科学省は、年長(5歳児)の4月から小学1年生の3月までの2年間を「架け橋期」と呼び、園と小学校が協力して、子どもの学びや生活をなめらかにつなげていく幼保小の架け橋プログラムを進めています。小学校の学習指導要領でも、1年生の算数は、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿とのつながりを考えて進めることになっています。年長さんと1年生が交流する機会をつくっている園や学校もあります。
小学1年生になると、算数は週4時間ほどの教科になります。多くの教科書では、10までの数をていねいに扱うところから始まり、100までの数と十のまとまり、「いくつといくつ」、くり上がりのあるたし算とくり下がりのあるひき算、時計の読み方へと進みます。入学前に式やドリルを先取りしておく必要はありません。1年生へのいちばんの準備は、10までの数をしっかりわかっていることです。ものを正しく数えられる、どちらが多いかをくらべられる、6が5と1にも、4と2にも、3と3にも分けられると気づいている。こうした感覚があれば、1年生の算数に自信をもって入っていけます。
入学準備でおなじみなのが算数セットです。おはじき、ブロック、数え棒、とけい、計算カードなどが入った道具箱で、1年生の授業で使います。用意の仕方や時期は学校によって違いますが、手もとに届いたら、細かい部品の一つひとつに名前をつけるのが、保護者の方の「大仕事」として知られています。お子さまといっしょに「おはじき、いくつあるかな」と数えながら名前シールをはれば、これもりっぱな数あそびになります。
おうちでできること
- 本物を数える。階段の段、お皿のミカン、洗濯物のくつ下。数えたあとで「じゃあ、ぜんぶでいくつ?」と聞いてみてください。
- お手伝いで「1人に1つずつ」。食事の前に、家族の人数分のお箸やコップを並べてもらいましょう。足りるかな、あまるかな、と考えることが、1つずつ組にしてくらべる練習になります。
- すごろくやトランプで遊ぶ。サイコロの目を何度も見ているうちに、数えなくても「5!」とわかるようになります。
- かくして当てる。おはじきを5こ並べて、いくつかをお茶わんでかくし、「見えているのは2こ。かくれているのは何こ?」と聞きます。5の「いくつといくつ」が、遊びながら身につきます。
- おやつを分けてもらう。「イチゴ7こを、お母さんと同じ数ずつ分けてくれる?」。3こずつ分けると、1こあまります。そのあまりをどうするか、いっしょに相談するのも楽しい時間です。
- おふろで数える。「100まで数えたら出ようね」の定番に、ときどき「10、9、8……0」のカウントダウンもまぜてみましょう。「1つ少ない」の感覚が育ちます。
- 形さがしと、おみせやさんごっこ。散歩の途中で、まるやさんかくの標識を見つけましょう。家では、おもちゃのお金や手づくりの品物でおみせやさんごっこを。「りんごを3こください」と注文して、ちゃんと3こあるか、いっしょにたしかめてみてください。
暮らしの中でできるアイデアは暮らしの中の算数に、家でのかかわり方はおうちで算数をサポートするにはにまとめています。
お子さまがものを数え終わったら、「ぜんぶでいくつ?」と聞いてみてください。また1から数え直すようなら、最後に言った数と、まとまりの数が、まだつながっていないのかもしれません。この年齢ではよくあることです。いっしょに数えながら、最後の数を少し強く言ってみましょう(「1、2、3、4……4こだね!」)。そして、また別の日に聞いてみてください。
インディのチャレンジインディはハチミツのしずくを8こ持っているよ。なかよしのチョウチョと同じ数ずつ分けると、それぞれ何こずつになるかな? 答えを見る
それぞれ4こずつです。園で配るときと同じように、「インディに1こ、チョウチョに1こ」と1こずつ配っていくと、4回配ったところで、しずくがちょうどなくなります。4と4で8。あまりなしで、同じ数ずつ分けられました。
年長さん向けの無料プリント
年長さんの数あそびは、本物のものを使うのがいちばんです。それでも、雨の日や静かに過ごしたいときには、プリントも役に立ちます。どれも2ページ目に答えがついています。無理にさせず、お子さまが楽しめる範囲で使ってください。
あといくつで10年長, 小学1年生 · いくつといくつ:あわせて10になる2つの数PDFをダウンロードよくある質問
年長には算数という教科はなく、幼稚園教育要領でも、子ども自身が必要を感じる体験の中で、数や形への関心や感覚を育てることを大切にしています。ドリルなどで先取りしなくても大丈夫です。お子さまがワークを楽しんでいるなら、短い時間で、楽しいうちに終えるとよいでしょう。
決まった目安はありません。多くの子は、ものなら10くらいまで正しく数えられ、唱えるほうは20や100まで進みます。どこまで唱えられるかより、小さな数の意味がわかっていることのほうが大切です。1年生の算数も、ものを数えたり、くらべたりするところから始まります。
大丈夫です。数字の書き方は、小学1年生でていねいに習います。年長で書ける子も多いですが、「3」や「5」が左右反対になる「鏡文字」もよく見られ、練習するうちに自然に直っていきます。まずは数字が読めること、数字とものの数が結びついていることを大切にしてください。
同じ学年には4月2日から翌年4月1日までに生まれた子がいるので、4月生まれと3月生まれでは1歳近い差があります。5〜6歳の1年はとても大きく、差があって当たり前です。まわりの子とくらべるより、お子さま自身の成長を見てあげてください。気になることがあれば、園の先生に相談してみましょう。
インディと練習しよう
Beequation Kidsでは、計算の練習がハニカムパズルになります。お子さまがつまずいたときは、ミツバチのインディがヒントを出します。広告なし、データ収集なし。