保護者の方へ
おうちで算数をサポートするには
お子さまの算数を支えるのに、おうちの方が算数を得意である必要はありません。家庭で大切なのは、正しい解き方を知っていることよりも、お子さまが算数にどんな気持ちを持つかです。算数が、家族といっしょに落ち着いて少しずつ取り組めるものになるのか。それとも、食卓で涙になって終わるものになるのか。このガイドでは、宿題や丸つけ、学校のやり方がわからないときの対応もふくめて、おうちの算数を「いい時間」にするためのコツを紹介します。
毎日少しずつ、こまめに
週末に1時間がんばるより、毎日5分のほうがずっと力になります。短い時間なら疲れにくく、何度も出てくる数や計算ほど、しっかり身につきます。しかも、その多くは机に向かって「勉強」する形でなくてかまいません。
- お風呂で「100まで数えたら出ようね」。慣れてきたら、10、20、30…と10ずつ数えてみます。
- 階段をのぼりながら段を数え、おりるときは上の数から「12、11、10…」と数えもどします。慣れてきたら、2段ずつ「2、4、6…」と数えてみましょう。
- 車や電車の中で「6 + 7 は?」と聞き、次はお子さまから問題を出してもらいます。
- 夕ごはんの準備をしながら「今日はおばあちゃんも来るよ。おはしは何人分いるかな?」
- バス停で「バスは17:42に来るよ。いまは17:35。あと何分?」(7分)。時刻表の「17:42」が午後5時42分のことだと知るきっかけにもなります。
暮らしの中の算数では、こうした遊びを年長から高学年まで、学年に合わせて紹介しています。
算数の話をして、よい質問をする
子どもは、自分の考えを言葉にすることで多くを学びます。いまの算数の授業では、答えを出すだけでなく、「どうしてそうなるのか」を式や図、言葉で説明することが大切にされています。6年生の全国学力・学習状況調査でも、わけを言葉や式で書く問題が出されます。おうちで同じような問いかけをすると、とても力になります。たとえば、こんな質問です。
- 「どうやって考えたの?」
- 「ほかのやり方もあるかな?」
- 「図にかいてみて」「おはじきで見せてくれる?」
- 「何か気づいたことはある?」
- 「答えはだいたいどのくらいになりそう?」(これを見積もりといいます。答えが大きくずれているときに気づく助けになります。)
- 「それって、いつでもそうなるのかな?」
こうした質問は、答えが合っているときにもしてみてください。まちがえたときだけ「どうやったの?」と聞くと、子どもは「この質問が出たら、まちがい」と受けとり、説明したがらなくなってしまいます。
「頭がいいね」より、がんばりをほめる
「頭がいいね」はうれしいほめ言葉ですが、逆効果になることもあります。頭のよさをほめられてきた子は、「できなかったら、頭がよくないと思われる」と感じて、難しい問題をさけるようになることがあるのです。それよりも、お子さまががんばったことや工夫したことを、具体的にほめましょう。
- 「難しかったのに、最後まであきらめなかったね」
- 「たしかめ算で答えを確かめたの、いいね」
- 「うまくいかなかったから、別のやり方をためしたんだね」
- 「まちがえたけど、そのおかげでよくわかったね」
もうひとつ、小さいけれど力のある言葉があります。「まだ」です。「くり下がりのひき算ができない」と言われたら、「まだできないんだね。いま練習しているところだもんね」と返してみてください。「できない子」ではなく「できるようになる途中」なのだと伝わります。
きょうだいやお友だちとくらべるのは、さけましょう。「お兄ちゃんは2年生のとき、九九をあっという間に覚えたのに」という言葉は、はげましのつもりでも、お子さまには重くのしかかります。くらべるなら、少し前のお子さま自身と。「前は指で数えていたのに、いまは頭の中でできるようになったね」と伝えてみてください。
まちがいは、算数を学ぶうえで自然なことです。先生方は、まちがいを大切な手がかりと考えています。お子さまがどう考えたのかが、はっきり見えるからです。おうちでも「おもしろいね。どう考えたのか教えて」と声をかけてみてください。
お子さまに先生になってもらう
とても効果的なひと言があります。「どうやるんだったか忘れちゃった。教えてくれる?」です。やり方を説明できるのは、使えること以上に、よくわかっている証拠です。たとえば 34 + 28 の筆算を「一の位、4たす8は12。2を書いて、十の位に1くり上げる。十の位、1たす3たす2で6。答えは62」と説明できれば、くり上がりがしっかりわかっています。説明のとちゅうで言葉につまったら、そこがつまずいているところ。テストをしなくても、それがわかります。
お子さまの手が止まると、つい代わりに解いてみせたくなりますが、そこはぐっとこらえてください。「わかっていることは何?」「まず何からやってみる?」と聞いて、少なくとも10秒は何も言わずに待ちましょう。その沈黙の間に、お子さまは考えています。
宿題の見守り方
小学校の算数の宿題は、計算ドリルや計算プリントが1ページ、低学年なら計算カード、2年生になると九九の暗唱、というように、たいてい短いものです。国語の音読を聞いて音読カードにサインをするのと同じように、計算カードや九九は、おうちの方が聞いてあげる宿題になっていることも多いでしょう。短い宿題を短いまま終わらせるために、こんな流れがおすすめです。
- 時間と場所を決める。学校から帰ったばかりでおなかがすいているときや、寝る直前はさけましょう。おやつのあとや夕ごはんの前など、毎日だいたい同じ時間、同じ場所で取り組むと、家庭学習の習慣になります。
- 問題文をいっしょに読む。「わからない」の多くは、実は「何を聞かれているのかわからない」です。文章題では、わかっていることと聞かれていることに線を引いたり、「しき」と「こたえ」を分けて書いたりします。答えに単位(こ、まい、cm など)がついているかも見てあげましょう。
- まずは自分でやってもらう。横にぴったりはりつくより、少しはなれたところで見守りましょう。
- 答えではなく、ヒントを出す。「もっと小さい数だったらどうなる?」「テープ図にかいてみたら?」などがよいヒントです。
- 筆算の書き方を見る。筆算のまちがいの多くは、位がずれることから起こります。ます目のノートなら、1ますに数字を1つずつ書くと、位をそろえやすくなります。
- 引き際を見きわめる。けんかになりそうなら、今日はそこまでにしましょう。連絡帳に「4番の問題が難しかったようで、15分でやめました」と短く書いておけば、おうちの方が手伝って仕上げた答えより、ずっと多くのことが先生に伝わります。
丸つけは、やさしく
日本では、宿題の丸つけをおうちの方にお願いしている学校も少なくありません。丸つけの時間は、お子さまが「算数っていいな」と思えるかどうかを左右する時間でもあります。
- 合っているところに、大きな丸を。まちがいより先に、できたところに目を向けましょう。
- まちがいに正しい答えを書きこまない。小さな印をつけて、「ここ、もう一度見てみようか」と声をかけます。自分で直せたら、そこにも丸をつけてあげてください。
- まちがいの理由をいっしょにさがす。九九があやふやなのか、くり上がりの1をたし忘れたのか、位がずれたのか。理由がわかれば、次に練習することもはっきりします。
- 学校のやり方に合わせる。丸つけをおうちの方がするのか、お子さまが自分でするのか、まちがいをどう直すのかは、学校や先生によって違います。学年だよりや宿題のプリントに書かれていることもあるので、確かめておきましょう。
宿題に少しまちがいが残っていても大丈夫です。先生は、お子さまがひとりでどこまでできるかを見るためにも宿題を使っています。おうちの方が全部直してから出すより、つまずいたところが見えるほうが、先生にとって役に立つこともあります。
学校のやり方がわからないとき
算数の教え方は、20年前、30年前とは少し変わっています。お子さまのノートを見て、「さくらんぼ計算」「テープ図」「減加法」など、初めて聞く言葉に出会って、とまどうおうちの方も少なくないでしょう。それはごく自然なことです。
日本の小学校では、学習指導要領にもとづいて、全国どこでも基本的に同じ形の筆算を習います。ただ、教室では計算の手順を決まった言葉で唱えたり、式や図のかき方を大切にしたりします。たとえば、こんなところです。
- 筆算の手順を言葉にする。たし算は「くり上がり」、ひき算は「くり下がり」。わり算の筆算は「たてる → かける → ひく → おろす」と唱えます。96 ÷ 4 なら、「9 ÷ 4 で2をたてる。4 × 2 = 8 を書く。9 − 8 = 1。6をおろして16。16 ÷ 4 で4をたてる。4 × 4 = 16。16 − 16 = 0」で、答えは24です。
- かけ算の式の順番。「1皿に3こずつ、4皿分」なら、「1つ分の数 × いくつ分」で 3 × 4 = 12 と書くように指導しているクラスがあります。答えは同じでも、式の意味を大切にしているからです。
- 図に表して考える。文章題では、テープ図や数直線に数を書きこんでから式を立てることがよくあります。
- 1年生のさくらんぼ計算。8 + 5 なら、5を2と3に分けて、8と2で10、10と3で13。10のまとまりをつくる考え方です。
やり方がわからないときは、こうしてみてください。
- お子さまに教えてもらう。クラスでどうやっているかは、お子さまがいちばんよく知っています。
- 教科書とノートを見る。ノートには黒板に書かれたことが写されているので、クラスでの書き方や言い方がよくわかります。
- ガイドを読む。いまの算数の教え方では、よく使われる方法を図といっしょに説明しています。
- 担任の先生に聞く。連絡帳に書いたり、個人面談のときに聞いたりしてみてください。たいていの先生は、喜んで説明してくださいます。
では、おうちの方が知っている解き方や近道はどうでしょう。答えが正しければ、まちがいではありません。でも、宿題のとちゅうで別のやり方を見せると、まだ最初のやり方に慣れていないお子さまは混乱してしまいます。たとえば5年生の速さで使われることのある「は・じ・き」のような覚え方や、中学受験向けの特別な解き方は、授業で式の意味をじっくり考えている時期には、かえって遠回りになることがあります。意味がわかってから使ってほしいと考える先生もいます。別のやり方を教える前に、担任の先生に相談してみてください。宿題は学校のやり方で進め、「お父さん(お母さん)はこう習ったよ」という話は、お子さまが学校の方法に慣れてから、おもしろい比べっことして楽しみましょう。
算数を楽しい時間に
子どもは、大人が算数をどう話しているかをよく聞いています。「お母さんも算数は苦手だった」「算数なんて大きらいだった」といった言葉は、冗談でもひかえましょう。お子さまは「じゃあ、自分もできなくていいんだ」と受けとるかもしれません。おうちの方自身が算数に苦手意識をお持ちなら、「算数がにがて」と言われたらにもヒントがあります。
ほかにも、算数を楽しい時間にするコツがあります。
- すごろくやトランプ、サイコロで遊びましょう。すごろくでマスを数える、2つのサイコロの目をたす、トランプで「たして10」になる2枚を見つける。どれも算数です。
- 楽しいうちに終わりにしましょう。「またやりたい」と思える終わり方が、次につながります。
- ときどき、わざとまちがえてみましょう。「5 + 5 は11だったよね?」と言って、お子さまに直してもらいます。
- 見つけた算数を口に出してみましょう。「このたまごパック、10こ入りで2列にならんでいるね。1列に何こあるかな?」(5こ)
よくある質問
宿題とは別に、1日5〜10分ほどでじゅうぶんです。その多くは、おしゃべりや遊び、暮らしの中の算数でかまいません。プリントを何枚もこなす必要はありません。
いいえ。話題にするのは1つにしぼりましょう。できれば、お子さまに考え方を説明してもらい、自分でまちがいに気づけるようにします。全部を直されると、子どもはまちがえるのがこわくなり、挑戦しなくなってしまいます。
合うお子さまもいますが、なくてもかまいません。短い遊びや会話のほうが力になることも多いものです。印刷できるものがほしいときは、無料プリントをどうぞ。どれも解答つきです。
まずは担任の先生に相談してみてください。お子さまがどこでつまずいているのか、家で何を練習するとよいかを教えてもらえます。連絡帳で面談をお願いしてもかまいません。学年別ガイドでは、それぞれの学年で習うことを紹介しています。
インディと練習しよう
Beequation Kidsでは、計算の練習がハニカムパズルになります。お子さまがつまずいたときは、ミツバチのインディがヒントを出します。広告なし、データ収集なし。