保護者の方へ
小学校の算数のテストと評価
「小学校では、算数のテストがどれくらいあるの?」「全国学力テストって、成績に関係するの?」 そんな疑問をお持ちの保護者の方に、まずお伝えしたいことがあります。日本の小学校では、算数の評価のほとんどを、学校の先生がふだんの授業の中で行っています。全国の小学生が共通して受けるのは、6年生の4月にある全国学力・学習状況調査です。これは合格・不合格のある試験ではなく、通知表の成績にも、中学校への進学にも関係しません。このページでは、学年ごとにどんなテストや評価があるのか、点数や通知表をどう受け止めればよいのか、おうちでどう支えればよいのかを紹介します。通知表の書き方やテストの時期は、学校や地域によって少しずつ違います。
| 学年 | テスト・評価 | 時期 | 成績(通知表)との関係 |
|---|---|---|---|
| 年長 | テストはありません | なし | 成績もありません |
| 1〜6年生 | 単元テスト、小テスト、計算テスト | 単元が終わるごと、1年を通して | 通知表の材料のひとつ |
| 1〜6年生 | 通知表(3つの観点別評価。3年生からは評定3・2・1も) | 各学期の終わり(2学期制の学校は前期・後期) | これが成績です |
| 2年生 | 九九の暗唱(クラスでの練習) | 多くは2学期 | 全国共通のテストではありません |
| 6年生 | 全国学力・学習状況調査(国語・算数) | 毎年4月(2026年度は4月23日) | 関係しません |
| 一部の地域 | 都道府県・市区町村の学力調査 | 自治体によって違います | 学習の様子を調べるための調査 |
| 6年生(希望者) | 中学受験 | 多くは1月〜2月 | 学校の成績とは別のもの |
年長:テストはありません
幼稚園・保育所・認定こども園には、算数のテストも成績もありません。年長さんは、おやつを分けたり、積み木を数えたり、すごろくで遊んだりする中で、数や形に親しんでいきます。秋ごろにある就学時健康診断は、入学前に健康の状態を確かめるためのもので、公立小学校の入学試験ではありません。入学に向けて、特別な準備をする必要はありません。家庭でできる数あそびは、年長のページで紹介しています。
1年生から:単元テストと小テスト
小学校の算数は、「たし算」「長さ」「九九」のような単元ごとに進みます。単元が終わると、多くの学校で単元テストを行います。100点満点のカラー刷りのテストを、お子さまが持ち帰ってくるのを見たことがある方も多いでしょう。ほかにも、計算カードやドリルの確かめとして、先生が短い小テストや計算テストをすることがあります。
単元テストは、習ったばかりの内容が身についているかを確かめるためのものです。先生にとっては、クラス全体で説明がたりなかったところや、一人ひとりがつまずいているところを見つける手がかりになります。結果は通知表の材料のひとつになりますが、1回のテストで成績が決まるわけではありません。
テストを持ち帰ってきたら
点数を見る前に、どの問題でまちがえたかを見てみてください。
- 計算でまちがえている:くり上がりの1を書き忘れた、九九を言いまちがえたなど、手順や覚え方に原因があることがよくあります。
- 文章題でまちがえている:計算はできていても、問題の場面がつかめていないのかもしれません。「どんなお話だった?」と、場面を自分の言葉で説明してもらいましょう。
- 「わけを書きましょう」の欄が空いている:考えを言葉や式で説明する問題は、多くの子どもにとって難しいものです。ふだんから「どうしてそう考えたの?」と聞いてもらえると、少しずつ書けるようになります。
単元テストの中には、計算の力などをみる「知識・技能」の問題と、考え方をみる「思考・判断・表現」の問題が、表と裏で分かれているものもあります。両方を見くらべると、お子さまの得意なところと、これから伸ばしたいところが見えてきます。まちがえた問題を直して、もう一度解いてみることが、いちばんの復習です。
通知表:3つの観点と評定
学期の終わりには通知表(学校によって「あゆみ」「通信票」などと呼ばれます)が渡されます。3学期制の学校では年3回、2学期制の学校では前期と後期の年2回です。算数の成績は、テストの点数を平均して出すものではありません。単元テストや小テストのほか、授業での発言、ノート、プリント、学習のふり返りなど、学期を通した学びの様子から評価されます。
文部科学省の通知にもとづいて、どの教科も次の3つの観点で評価されます(観点別評価)。
- 知識・技能:計算を正しくできるか、算数の言葉や図形の性質などを理解しているか。
- 思考・判断・表現:問題に合った考え方を選び、式や図、言葉を使って説明できるか。
- 主体的に学習に取り組む態度:ねばり強く考えたり、まちがいをふり返って次に生かそうとしたりしているか。手をあげた回数ではなく、学びに向かう姿勢をみます。
観点ごとの評価は「よくできる・できる・もう少し」や「◎・○・△」のような3段階で示されることが多いようです。3年生からは、観点別の評価をもとにした評定(3・2・1の3段階)も記録されます。1・2年生は観点別の評価のみで、評定はありません。評定を通知表にのせるかどうかや、表し方の言葉は学校によって違うので、通知表といっしょに配られるお知らせを見てみてください。
「もう少し」や「1」があっても、それは「まだ身についていないところがある」というお知らせです。先生が書く所見の欄には、記号や数字よりもくわしいヒントが書かれていることがよくあります。
2年生:九九の暗唱
2年生では、多くの学校で2学期に九九を覚えます。覚えた段を一人ずつ先生の前で唱える九九の暗唱は、2年生の教室のおなじみの光景です。上から順に、下から逆に、ばらばらに、と段階をふんで聞いてもらい、言えたらカードにシールやスタンプがもらえる、というクラスもあります。
これはクラスで行う練習で、全国共通のテストではありません。進め方も学校や先生によって違います。日本の九九は1 × 1から9 × 9までの81こです。おうちの方が聞き役になってあげることが、いちばんの応援になります。練習のアイデアは九九のおぼえ方・練習のしかたにまとめています。
九九は、週末にまとめて長く練習するより、毎日少しずつのほうが身につきます。朝ごはんのときやお風呂で、1日に2つか3つの段を唱えてもらい、おうちの方が聞き役になってください。つかえた九九(「しちはごじゅうろく」7 × 8 = 56 など)は、順番を変えて何度か出してあげましょう。言えるようになった段をいっしょに数えて喜ぶと、次の段への励みになります。
6年生:全国学力・学習状況調査
全国学力・学習状況調査(「全国学力テスト」「学テ」とも呼ばれます)は、文部科学省と国立教育政策研究所が毎年行っている調査です。全国の小学6年生と中学3年生の原則として全員が対象で、毎年4月に行われます。2026年度(令和8年度)の小学校の調査は、4月23日(木)に行われました。
- 教科:小学校では国語と算数が毎年あります。理科はおおむね3年に一度加わります(直近は2025年度)。
- 質問調査:教科のほかに、ふだんの生活や勉強のしかたについての質問(児童質問調査)にも答えます。2026年度は、この質問調査をコンピュータで回答しました。
- 実施のしかた:2026年度の小学校の教科の調査は、紙で行われました。2027年度からは、教科もふくめてすべてコンピュータで答える方式(CBT)に移る予定です。くわしくは文部科学省の実施要領で示されます。
- 結果:夏ごろに学校に届き、学校を通して一人ひとりに個人票が返されます。2026年度の全国の結果は、8月3日に公表されました。
- 成績との関係:通知表の成績にも、中学校への進学にも関係しません。国や自治体、学校が、教え方や学び方を見直すための調査です。
どんな問題が出るの?
6年生の4月に行うので、問題は5年生までに習った内容が中心です。計算の力を確かめる問題もありますが、目立つのは、身のまわりの場面で算数を使い、考えたことを式や言葉で説明する問題です。答えを出すほかに、「わけを言葉や式を使って書きましょう」のように理由まで書く問題がよく出ます。たとえば、次のような問題をイメージしてください(実際の調査問題ではありません)。
「ゆいさんは500円を持って、1こ120円のパンを買いに行きました。パンは最大で何こ買えますか。そのわけを、式や言葉を使って書きましょう。」
答えは4こです。120 × 4 = 480 で500円以内におさまりますが、120 × 5 = 600 では500円をこえてしまいます(4こ買うと、おつりは 500 − 480 = 20 で20円)。このような問題では、「4こ」と答えるのに加えて、どうして5こは買えないのかを説明できるかが大切になります。ふだんの授業や単元テストの「わけを書く」問題と、同じ力です。
調査のくわしい内容やこれまでの問題は、文部科学省の全国学力・学習状況調査のページや国立教育政策研究所のページで見ることができます。
全国学力・学習状況調査のために、特別な問題集を買ったり、春休みに猛勉強したりする必要はありません。おすすめは、ふだんの会話の中で「どうしてそう思ったの?」「どうやって考えたの?」と聞いてみることです。考えを言葉にする練習は、どの教科にも、毎日の授業にも役立ちます。前の日は早めに寝て、いつもどおりに朝ごはんを食べて送り出してあげてください。
地域によっては:自治体の学力調査
都道府県や市区町村によっては、独自の学力調査を行っているところもあります。対象の学年や時期、紙で行うかコンピュータで行うかは、自治体によってさまざまです。多くは、地域や学校の学習の様子を調べるためのものです。お子さまの学校で行う場合は、学校からお知らせがあります。
希望する家庭が選ぶもの:中学受験と民間の検定
大都市を中心に、私立や国立の中学校、公立の中高一貫校を受験する家庭もあります(中学受験)。試験は1月から2月にかけて行われることが多く、東京都と神奈川県では2月1日から始まります。入試の算数には、教科書の範囲をこえる問題も多く出ます。受験するかどうかは、それぞれの家庭が選ぶことです。多くの子どもは、試験を受けずに地元の公立中学校に進みます。
また、算数検定(実用数学技能検定)やそろばんの検定のように、希望者が受けられる民間の検定もあります。目標があると練習に張り合いが出る子もいますが、受けなければならないものではありません。
心配しなくてよいこと
テストについて、保護者の方からよく聞かれることをまとめました。日本の小学校には、次のようなテストはありません。
- 年長でのテスト。園での生活や遊びが、そのまま小学校の算数の土台になります。
- 1〜5年生の全国共通のテスト。算数の評価は、学校の先生がふだんの授業や単元テストをもとに行います。
- 九九の全国テスト。九九の暗唱は、クラスで行う練習です。
- 公立中学校の入学試験。6年生を終えると、住所によって決まる地元の公立中学校に、試験を受けずに進学します(学校を選べる制度のある自治体もあります)。全国学力・学習状況調査の結果も、進学には使われません。
あせらずに支えるために
- テストをふだんどおりに扱う。子どもは、おうちの方の反応をよく見ています。テストを学校生活のふつうの一部として扱えば、お子さまも落ち着いて受けられます。
- 毎日少しずつ続ける。テストの前にまとめて詰めこむより、1年を通して1日数分の練習を続けるほうが力になります。いくつといくつ、九九、暗算は、どの単元の土台にもなります。
- 点数より、がんばりと考え方をほめる。「90点すごいね」より「最後の文章題、あきらめずに式を書いたんだね」のほうが、次の意欲につながります。
- まちがいは「まだ」のしるし。「ここはまだ練習中なんだね」と声をかけて、直しをいっしょに見てみましょう。まちがえた問題をもう一度解けたら、それは立派な成長です。
- 通知表は、よかったところから読む。まずできるようになったことを伝え、そのあとで、次の学期にがんばりたいことを一つ、いっしょに決めてみてください。
- 生活の基本を大切にする。十分な睡眠、朝ごはん、遊ぶ時間は、直前のプリント1枚よりも大きな力になります。
- 不安のサインに気づく。テストの前になるとおなかが痛くなる、よく眠れない、「どうせ0点だ」と言う。そんなときは、お子さまの話をゆっくり聞き、担任の先生にも相談してください。「算数がにがて」と言われたらにもヒントがあります。
算数の様子が気になったら、通知表を待たずに、連絡帳や個人面談で担任の先生に聞いてみてください。「よくできていること」「つまずいていること」「家でできること」の3つをたずねると、点数よりずっと役に立つ、具体的なヒントがもらえます。各学年で習う内容は、学年別のガイドで確かめられます。
よくある質問
関係しません。国や自治体、学校が教え方を見直すための調査で、合格・不合格もありません。公立中学校への進学に試験はなく、調査の結果が進学に使われることもありません。
特別な対策は必要ありません。問題は5年生までに習った内容が中心です。ふだんの授業を大切にして、おうちでは考えを言葉で説明する機会をつくってあげるのが、いちばんの準備になります。
1回の点数で判断する必要はありません。まず、どの問題でまちがえたかを見て、計算のミスなのか、考え方がまだわかっていないのかを確かめてみましょう。同じような点数が続くときや、お子さまが困っている様子のときは、担任の先生に相談してください。
文部科学省の通知で、評定(3段階)は3年生から6年生でつけることになっているためです。1・2年生は、3つの観点ごとの評価で学習の様子を伝えます。表し方は学校によって違います。
成績を決めるテストではないので、あせらなくて大丈夫です。覚えるペースは子どもによって違いますし、3学期や3年生になってからも、九九を使う場面はたくさんあります。言えた段をほめながら、つかえる九九を少しずつ練習していきましょう。
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